版からインキをブランケットなどの中間転写体に転写して、紙などの素材に印刷する印刷方式で、その多くは物理的な凹凸がない「平版」を使用しています。
凹凸がない版でも、版の表面の性質を変えることによって印刷できるという仕組みです。油性であるインキを付けたい部分は親油性に、つけたくない部分は親水性にすることで、インキのオン・オフをコントロールしています。【図1】
版銅の水色の部分は親水性でインキが付かず、オレンジの部分は親油性に表面の性質が変わっているためにインキが付きます。ここで付いたインキが下のブランケット銅に転写され、さらにその下を通る印刷用紙に転写されて印刷できます。【図2】
【長所】
● 高い線数で印刷できるため、非常に鮮明な印刷が可能です。
● 版に紙が直接触れないため、版の劣化が遅いことから大量印刷向きです。
● 日本での普及率が高いため、たいていの印刷所で行っている印刷方法で、比較的コストも抑えられます。
● 枚葉オフセット印刷機の中には、箔加工を施せるユニットを取り付けられたリ(コールドフォイル)、製版の際のスクリーン(ドット)の形を変形して、様々な印刷表現を可能にすることができるものもあります。
【短所】
● 凹凸のない版を使用しているため、他の印刷方式と比較して一度の印刷で盛れるインキ量が少ないです。粒子の粗いインキも版からブランケットに転写された時にそこから紙にきれいに転写されないので、使えない場合が多いです。
● 小ロットの場合は単価が割高になりやすいです。
● 版制作やインク乾燥に時間を要するため、即日仕上げができません。